立ち退き交渉をスムーズに進めるための知識と方法

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賃貸人が賃借人に対して建物の明け渡しを求める立ち退き交渉には、①賃借人側に家賃滞納などの契約違反が存在し、賃貸借契約を解除する場合②賃借人側に契約違反がなく、建物賃貸人側の都合で立ち退きを求める場合の2パターンが存在します。

そして、②の場合、入居者は自身に落ち度がないにもかかわらず現在の住居を失うことになってしまいますので、賃借人が立ち退きを拒み、立ち退き交渉が難航するケースは少なくありません。

本記事では、②のケースを念頭に置いて立ち退き交渉がスムーズに進めるためのポイントについて解説していきます。

立ち退き交渉と借地借家法について

日本では「借地借家法」という建物の賃貸借について規定された法律が存在し、賃借人の地位は借地借家法により保護されています。

そして賃貸人の都合により賃借人に明け渡しを求める場合、借地借家法第261項、第28条との抵触が問題となります。

 

・第261

建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。

ただし、その期間は、定めがないものとする。

 

・第28

建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

 

261項及び第28条の内容をまとめると、①賃貸借契約更新日の6ヶ月前には立ち退きの通知を行い、立ち退きを求める旨の意思表示をしなければならず②立ち退きの申入れをするにあたっては、立ち退きを求めることについて正当な事由があることが必要となります。

借地借家法上の「正当な理由」について

上述のように、立ち退きを求めるにあたっては「正当な理由」の存在が必要になりますが、正当な理由の有無の判断にあたっては、①賃貸人と賃借人の建物の使用を必要とする事情②建物の賃貸借に関する従前の経過③建物の利用状況④建物の現況⑤建物の賃貸人が建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申し出をした場合におけるその申し出といった要因が総合的に考慮されます。

特に、①賃貸人と賃借人の建物の使用を必要とする事情はもっとも重視される要因であり、賃貸人側の事情としては、老朽化に伴う建物建て替えの必要性などが挙げられ、賃借人が建物の使用を必要とする事情としては、当該物件が長期間生活の基盤となっており、移住することが困難であるといった事情が挙げられます。

立ち退き交渉をスムーズに進めるためのポイント

上述のように、賃借人に落ち度が存在しないにもかかわらず立ち退きを求める場合、なかなか立ち退きに応じてもらえないケースも少なくありません。

交渉にあたっては以下の点に注意をする必要があります。

 

①賃借人が抱えるリスクを事前に調査し適切な補償の提案を行う

転借人が立ち退きを請求された場合、引っ越し費用、転居先の物件に関する契約費用等、様々な費用を支出しなければなりません。

交渉にあたっては、立ち退きに伴い生じる各種費用を調査した上で、これらの金額を踏まえた立退料の提示を行うことが重要となります。

 

②立ち退きを求める理由について丁寧に説明する

賃借人に落ち度のない立ち退きの場合、感情のもつれからトラブルに発展するケースも少なくありません。

賃借人に対しては、立ち退いてもらわなければならない理由を丁寧に説明し納得していただくようにしましょう。

 

③情報できるポイントについて明確にしておく

仮に立ち退き交渉が難航した場合、賃貸人としても譲歩する姿勢を示す必要があります。

例えば、立退料の一部を前払いする、立ち退きの時期を先延ばしにする、賃借人に代替の物件を用意するなどといった譲歩をすることにより、賃借人の協力を得られるケースもありますので、どのような点で譲歩が可能であるかについては、事前に検討しておきましょう。

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